彼女は、僕が書いた原稿を床に放った。
「私の頭が悪いからなのかもしれないけど、さっぱりわからないわ。」
まあそうだろうな。
「プライマルスクリームは知ってるけど。」
そう言って、タバコをくわえた。
彼女の部屋には灰皿がない。
それどころかテーブルとかベッドとか、家具と呼べるようなモノも無い。
今だって冷たい床に二人してあぐらをかいている。
僕は缶コーヒーを飲み干した。
「正直、僕もなんだかよく分かってないんだよ。」
彼女は、火のつかないライターと格闘している。
「ライターもってない?」
「あいにく。」
僕はタバコは吸わない。
彼女は諦めて唇からタバコをはずした。
めんどくさそうにこちらを向く。
窓を背にした彼女の表情はよく見えない。西日のせいだ。
「その原稿は僕が書いた。これは確かだ。
そこに書いてあることは、おそらく夢の中での出来事だと思う。
原稿用紙は今朝、駅前の本屋で買った。
あの本屋に文房具が一通り揃っているってことを今日知った。
レシートもちゃんととってある。」
彼女は僕が差し出したそのレシートに目もくれず、つまらなそうに鼻を啜った。
僕はそれを財布に戻して話を続けた。
「君も知っての通り僕は物書きじゃないし、本だってそんなに読まない。
空想の強いタイプじゃないし、それに」
「プライマルスクリームなんて聴いたこともない。」
「そう。骨相学なんてものも知らない。」
僕は、タバコを弄んでいる彼女の手を取った。
「これなんだけど。」
一枚の紙を渡す。
「これは何のレシート?ボールペンのかしら。」
「ペンは家にあったのをつかったよ。」
今朝気がつくと僕はベッドの中にいて、手に一枚の紙を握っていた。
僕はその紙の感触を知っていた。
さっきまで後ろ手に握っていたあの紙だ。間違いない。
僕はその時の記憶を書き留めておく必要を感じた。
そして、思い出せることを全て書き出し、それは夢だったのだと理解することにした。
だけど夢だとするとその紙は何故ここにあるんだろう。
「お願いなんだけど、今夜一晩、僕の隣にいてくれないかな?」
彼女はゆっくりと立ち上がってカーテンを閉めた。
カーテン?そんなものがこの部屋にあったのか。
彼女の顔がぼんやり見える。一つの疑問が浮かんだ。
「君は誰だっけ。」
彼女の顔がゆがむ。
「私は―
mioさんは、文をかくのがすごくじょうずだと思います。
たぶん、にげた、どんぶり犬より上です。
だよねーー☆ねー。
6点
デ
それにしても、
逃げた犬はどこ行ったんでしょうね。
多分その辺にいるな。
見かけたらエサ(プロテイン)を与えてあげてください。
みなさんよろしくです。
しかし確かに麦山さんの作品は、奥が深い…
リアルにびっくりしちゃいました…
お見事!!
丼先生、尊敬してますので早く帰ってきてください。